新NISAとiDeCoは、どちらも節税対策になるのが特徴です。「節税対策になるのは知っているけど違いは分からない」という方も、多いのではないでしょうか。新NISAとiDeCoは全くの別物です。二つの違いを理解していないと、自分の目的にあわせた選択ができないかもしれません。この記事では新NISAとiDeCoの違いを分かりやすく解説します。
新NISAとiDeCoの違いは?
新NISAとiDeCoは、税制の優遇があるという点では共通しています。しかし、新NISAとiDeCoは別物です。新NISAとiDeCoの違いを、以下の6つの観点に分けてみていきましょう。
- 目的の違い
- 投資可能額の違い
- 税制優遇の違い
- 投資できる年齢の違い
- 引き出せる年齢の違い
- 手数料の違い
目的の違い
新NISAとiDeCoは、どちらも資産形成を目的といています。しかし、資産形成を行う目的が異なります。
新NISA | iDeco |
個人や家系の資産形成 | 老後のための資産形成 |
新NISAが個人や家計の資産形成を支援するための制度であるのに対して、iDeCoは老後のための資産形成を目的とする制度です。新NISAは純粋な投資ですが、iDeCoは年金制度の一つです。新NISAとiDeCoの目的の違いを理解するだけで、二つの違いが分かりやすくなるでしょう。
投資可能額
新NISAとiDeCoは共に年間に投資できる額に制限が設けられています。新NISAとiDeCoの年間に投資できる額の上限は以下の通りです。
新NISA | iDeco |
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新NISAの投資枠は成長投資枠とつみたて投資枠に分かれています。新NISAの年間に投資できる金額は360万円まで、成長投資枠が240万円まで、つみたて投資枠は120万円までです。iDeCoは加入している国民健康保険によって異なりますが、月額1万2000円〜6万8000円まで、年間で14万4000円〜81万6000円までです。新NISAのほうが、iDeCoよりも多くの金額を年間で投資できます。投資できる最低金額は、新NISAがどんな少額でも投資できるのに対して、iDeCoは月額5000円からしか投資できません。
新NISAは通算で投資できる枠が1800万円となっており、1800万円以上の金額を投資しても税金の優遇措置が適応されません。iDeCoは投資できる金額に上限はなく、長期にわたって投資し続けられるでしょう。
税制優遇の違い
新NISAとiDeCoともに、節税対策になります。しかし、新NISAとiDeCoでは税制の優遇の内容に違いがあります。
新NISA | iDeco |
生涯投資枠内である1800万円内であれば、運用益が非課税 | 運用益が非課税掛金が所得控除できるため、所得税や住民税を軽減できる |
新NISAとiDeCo共に、運用益が非課税です。iDeCoでは掛金が所得控除の対象となります。iDeCoは運用益の非課税に加えて掛金の所得控除も行えるため、税制の優遇の観点ではiDeCoのほうが新NISAよりも優れているといえます。
投資できる年齢の違い
新NISAとiDeCoは共に、投資できる年齢が設定されています。二つの間では投資できる年齢に違いがあります。
新NISA | iDeco |
18歳以上 | 20歳以上、65歳未満 |
新NISAとiDeCoにおける投資できる年齢の大きな違いは、高齢者になってからでも投資できるか否かです。新NISAは65歳以上の高齢者になっても投資できます。iDeCoは65歳未満までしか投資できません。iDeCoは老後の資産形成を目的としています。iDeCoの目的を考えれば、65歳以上の高齢者が投資できないのも当然だといえるでしょう。
引き出せる年齢の違い
投資したお金が引き出せるタイミングは重要ではないでしょうか。新NISAとiDeCoでは引き出せる年齢に違いがあります。
新NISA | iDeco |
制限なし |
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新NISAは引き出すタイミングに特に制限はありませんが、iDeCoは60歳まで引き出せません。iDeCoは老後の資産形成を目的としているため、年齢制限が設けられています。iDeCoの引き出せる年齢の制限は、大きなデメリットであり、メリットでもあるでしょう。
手数料の違い
新NISAとiDeCoは共に、専用の口座を設けなくてはいけません。専用口座の開設や掛金の納付、受け取りにかかる手数料に違いがあります。
新NISA | iDeco |
口座開設など手数料は無料 |
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新NISAは口座開設時の手数料はかかりません。iDeCoは口座開設や移換時、掛金納付時など投資している間に様々な手数料が発生します。加えて、受け取り時にも手数料が必要です。iDeCoのほうが様々な場面で手数料がかかるでしょう。
新NISAとiDeCoどっちが良いの?
新NISAとiDeCoはどっちが良いのかは、一概には言えません。立場や目的によって、どちらが良いかは違うでしょう。新NISAとiDeCoがどういった人におすすめなのかを解説します。
新NISAが向いている人
新NISAとiDeCoの違いを踏まえたうえで以下のような人に、新NISAはおすすめです。
- 投資の初心者
- 柔軟な資金管理を考えている人
- 短期から中期での投資を考えている人
- 20代や30代
新NISAはいつでも資産を引き出せる点や口座開設費用がかからない点から、投資の初心者が試しに投資をするのに向いています。お試しとして少額から新NISAで投資をし、慣れてきたら自分の目的や資産状況などに応じて、新NISAかiDeCoかを選択すると良いでしょう。
iDeCoは60歳になるまで資産を引き出せないため、頻繁な資金の出し入れを必要とする柔軟な資金管理を考えている人にはむいていません。新NISAは1年間に投資できる金額も360万円と、iDeCoよりも大きな金額を投資できます。自由に資産を引き出せる点や多くの金額を投資できる点から、短期から中期での投資を考えている人には新NISAのほうが適しているでしょう。
20代や30代といった若い人には新NISAがおすすめです。人生では結婚や出産などまとまったお金が必要になる場合があります。まとまったお金が必要になった時に資産を自由に引き出せる新NISAのほうが、若い人には適しているでしょう。
iDeCoがむいている人
一方、iDeCoは以下のような人にむいているといえるでしょう。
- 老後の資産形成を目的とする人
- 自営業者フリーランサー
- 高所得者
- 50歳以上など比較的年配の方
iDeCoは老後のための資産形成を目的とし、60歳まで資産を引き出せません。60歳以前に老後の資金を使ってしまうリスクがないため、老後の資産形成を目的としている人にはiDeCoのほうがおすすめです。自営業者やフリーランサーもiDeCoを利用するメリットが存在します。企業年金や退職金が受け取れないため、会社員と比較すると積極的に老後の資産形成をしなくてはいけません。自己責任で老後の資産を形成する必要がある自営業者やフリーランサーには、iDeCoのほうがむいているといえるでしょう。
iDeCoは掛金の所得控除ができ、所得税や住民税の負担を軽減できます。年収が高い人ほど所得控除の恩恵を受けやすいため、iDeCoがおすすめです。50歳以上など比較的年配の方は、60歳まで資産が引き出せない点がマイナスに働きにくいでしょう。iDeCoは新NISAよりも税制の優遇が優れているため、年配の方にはiDeCoのほうがメリットが大きいといえます。
新NISAとiDeCoの併用も可能
新NISAとiDeCoのどちらかしか利用できないというルールはありません。老後の資金はiDeCoに投資し、余った分を新NISAに投資するなど柔軟な投資ができます。自分のニーズに合わせて柔軟に新NISAとiDeCoを組み合わせるのが、賢い利用方法といえるでしょう。
まとめ
新NISAとiDeCoの違いについて解説しました。二つにはそれぞれのメリットが存在します。違いやメリットを理解したうえで、自分の状況やニーズに合わせた使い分けがポイントです。この記事を参考にして、新NISAやiDeCoを利用して投資を始めてみてはいかがでしょうか。